髭日記

アメブロからのお引越し。

シリーズ続編やけど明らかに『ん?』ていう続編のお話。

125【エイリアン4】原題は[Alien: Resurrection]でシリーズを通して初めて副題がついた作品。「Resurrection」は「復活」や「蘇生」。'97年のフランス人監督のジャン=ピエール・ジュネ作品。WOWOWでやってたから観たけどおそらく2回目。初見以降観てなかったからぼんやりとしか憶えてなかった。「完全版」ははじめまして。個人的な印象ですけど〈1作目→黒〉〈2作目→青〉〈3作目→黄色(土色)〉〈4作目→緑〉ってイメージ。最初に言っときますけど、今作は好きじゃないです。


やらかしてるのは前作の[3]ではなく今作。


元の宿主からのDNA、遺伝とかを考えたら生殖能力が変化したりするのは必然の流れかもしれない。けど、それはやっちゃダメなのよ。いや、やり"過ぎ"ちゃダメなの。以降の生態がフェイスハガーもチェストバスターもエイリアンの成長過程を端折る事になっちゃう(まぁ〈前日譚〉ができてしまった今となっては[2]の「クイーンの産卵嚢から卵が産まれる」というアイデアも微妙に感じなくもないですが…)。[根本]をイヂんなや。おまけにニューボーンでビジュアルまでをイヂり過ぎてしまった。[3]の時に書いた『真ん中の背骨の柱』をイヂっちゃってる。この後このバトンを引き継がずに〈前日譚〉でシリーズが続いてる事からも今作のベクトルが望まれてない方向へ舵を切った表れなんじゃないかなと思う。この後の展開はやりにくいでしょ。そりゃ[5]に続かないよ。ここでこのシリーズは死んだも同然になってしまった気はする。それも望まれてない最期を迎えたような。罪のレベルは[SWepⅧ]と同じくらいのやらかし。だから[プロメテウス]でのシリーズ復活は文句は言われたとしてもそれ以上に評価されるべきじゃないかなとぼくは思う。また、蘇生させるのが産みの親のリドリー・スコットなのは必然であったのかもしれないし他の人なら無理やったような気もする。

個人的に褒めるポイントは2つくらいでひとつ目は《仲間の体液を利用して逃げる》というアイデア(ただ、その直前の仲間同士の会話みたいな描写はもっと尺は短くて良かったと思う。あの尺やとちょっと邪魔。というか笑いそうになる)。シナリオ上ではそれくらい。〈泳ぐ〉?いや、泳がなくてもいい。そこを目玉のひとつとして作ったんでしょうけど。いらん、いらん。クライマックスの決着の付け方もとても趣味が悪い。ハリウッドの作り手ならあんな描写思いつかないよ。思いついてもやらない。虫を潰す冒頭も趣味がいいとは言えないし。リプリーの姉(1〜7)たちの描写も悪趣味。エイリアンまみれの中にリプリーが沈んでいくシーンも趣味がいいとは思えない。シンプルにキショイ。オーリガの研究施設や科学者たちのデザインとかとても仏映画っぽい気がする。良いとか悪いとかじゃなく。〈クローン〉という力技はたぶんこれっきりでしょうね。キリなくなっちゃう。ただ、クイーンのDNAというのは前作からちゃんと筋が通ってて上手い。序盤から中盤くらいまでのリプリーがとてもホラー。下手なホラー映画より気味悪い。前作がカッコイイ衣装やったのに比べてB級感丸出し、もしくは自主制作レベルのお粗末な衣装。エッグチェンバーを並べた罠はちょっと観応えあったけど、あんなトコに簡単にクイーンが産むもんかね、とすぐにすーんてなりました。簡単にセットできる対人地雷みたいな使い方すな。飛び出したフェイスハガーがよりによってリプリーに張り付くのはちょっと笑っちゃった。自力で引き剥がすのはリプリーしかできないからまぁしゃあないのかもしれんけど、『またかよ』って思って。笑わせにきたのかと思った。ブリースを背負ったクリスティーも足にぶら下がってるのが屍なら襲ってくることもないワケやし体制を整えてて落ち着いて振り解けばあんな離脱しなくて済んだんじゃないのかなぁと。漢気というより無駄死にとまでは言わないけどさ。マイケル・ウィンコット([ロビンフッド](ケビン・コスナー版)のガイ・ギズボーンや[NOPE]のクレイジーな撮影監督役)演じるエルジンといいいいキャラなのに退場のさせ方がもったいない。逆にパーヴィスの死に際はよかった。まさかチェストバスターを武器(?)にするとは。笑っちゃった。ただ、パーヴィスの口の中からのチェストバスターのシーンはいらないよ。アニメじゃねぇんやから。一気に安っぽくなる。ベティに戻ってからのニューボーンとのクライマックスは観てらんない。全て台無しにするくらいつまんない。〈血〉の使い方はちょっと上手かったけど(バスケ云々のシーンで血液の描写があってその回収みたいなもんですよね)。てか、ニューボーンの体液や血液は強酸じゃないのかよ。

ウィノナ・ライダーがコールのキャラといいとても今作だけで終わらせるにはもったいないのよね。コレがふたつ目のポイント。前日譚2作目では無理やったかもしれんけどその先シリーズが続くようならなんらかのカタチで再登場してくれないかな。

ハリウッドのホラーは『わっ!!』って背中を押したり『ドンッ‼︎』ていう音とか映像でビビらせる王道スタイルで、ヨーロッパ(イメージはイタリア)のホラーは痛い描写を見せつけてくるゴアな感じ。今作はコレなんですよね、なんとなく。日本のホラーは見えるはずのないモノが見えたりいるはずのない人(モノ)が黙って立っててビビらす感じで1番タチの悪いやり方。1番怖い。あと、海外は〈モンスター〉の怖さで日本は〈お化け〉の怖さ。この違いは大きいと思う。お国柄の感性の違いなんでしょうけど。特撮やCGの技術が発展して昔ならとても観ることのできない映像が観れるようにはなったけど、根っこの部分はたぶん変わってないと思う。だから《ホラー》で1番怖いのは和製やと個人的には思いますね。もし仮に日本の監督がこのシリーズを作ったらたぶんとびっきり不気味で怖くなると思う。作品のテイストは変わるでしょうけど。

今作に話を戻します。横着な言い方をすれば『スピンオフでやってくれ』って映画に近いと感じてしまう。シリーズの完結編は[3]でいい。それでも[プロメテウス][コヴェナント]の世界は成立するから。こんなん作るくらいなら前作で終わらせておいた方がよかった。

そもそも種の継続・存続の観点からすると〈卵を産む〉(複数の卵が産める)のと〈子宮から産まれる〉とではどっちが正解なのかという疑問。元々の生態なら確かに苗床になる存在が必要になるのに対してニューボーンならその苗床は必要なくなる。ただ産卵数は多数の卵と1匹のニューボーン。これは進化なのか退化なのか。おまけにこの生態やと生殖する相手が必要になるワケでしょ。実際、今回ニューボーンがクイーンを◯しちゃったから種としては途絶える事になっちゃう(ニューボーンに単為生殖能力があれば話は別)。

やっぱ[3]はまだちゃんとおもしろいよ。今作を観るとそれがよくわかる。


△(✖︎でもいいけどシリーズファンとしての忖度)

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勝98

分20

負7

 


《追記》

とここまで書いてメモに保存してあったらどうやら新作の[エイリアン:ロムルス(原題) / Alien: Romulus]がこの夏に公開されるらしい。1作目(リドリー・スコット作)と2作目(ジェームズ・キャメロン作)の間の話とか。ちょっと楽しみですね(今作の延長じゃなくてよかった)

 

 

読んでもらえてる方ならもうお察しだと思いますがシリーズ一気放送を観てますのであと2作このシリーズが続きます。よかったらお付き合いください。