髭日記

アメブロからのお引越し。

誰もが知ってるSFアクションの名作のお話を今更。

123【エイリアン2】('86)。言わずと知れた偉大な名作[エイリアン]の偉大な続編。[T2]と今作は最も成功してる"続編"やと思います。監督は前作のリドリー・スコットから当時[ターミネーター]を撮って注目され始めていたジェームズ・キャメロンにバトンタッチ。後に[T2][アビス][タイタニック][アバター]を撮るヒットメーカーですね。すごく好きなのが、前作は原題が《ALIEN》なのに対して続編の今作は《ALIENS》が原題。複数形。すごくいいセンスやと思う。《〜2》なんてヤボな原題にしない。複数形にするだけで作品の内容がこれ以上なく表現されてる。天才のつけた原題やと思う。実は[ダイハード2]の原題が《DIE HARD2》と《DIE HARDER》とあるんやけどそれに匹敵するくらい秀逸な原題。あ、いや、こっちの方が秀逸。WOWOWで放送してた〈完全版〉(20分ほど長い)を観たんですが、このバージョンははじめましてかもしれない。ニュートの家族のくだり(なかなか重要なシークエンス)とリプリーとヒックスのファーストネームの会話に全く既視感がなかった。ちなみに冒頭の審問会では『E・リプリー』って言われてるだけで「エレン」はこの会話で初出し情報やし今作もエンドロールは『Ripley』のみ。

この作品は内容や映像・脚本まで全てが好きなんやけど、特に好きなのが出てくる全てのデザインがカッコイイところ(語彙力どうした)。キャメロン感満載。そのまんま[T2]に持ってけるくらいのキャメロンの世界観。スマートガン、パルスライフル、セントリーガン、ドロップシップ(変形したフォルムがたまらなくカッコイイ)、APC(装甲車)、スコラ号(艦船)。全てがイイ。しばらくしてから知ったけど、今作のエイリアンのデザインは前作で衝撃を与えたH・R・ギーガーではなくキャメロンの意見を反映して特殊効果のスタン・ウィンストンが作ったとのこと。言われてみれば[2]のウォーリアーとクイーンは昆虫感が増してる。クイーンのデザインはすごくカッコイイし今作以降の映画やゲームで『絶対に影響を受けましたよね?』ってフォルムのモンスターをよく目にする。

今作はアクションに全振りしてるので怖さはほとんどないと思います。ホラーや怖いのが苦手な人でも観れるんじゃないかな。でも大気製造プラントでの初エンカウントシーンや基地内で大群が押し寄せる際の緊迫感はちゃんとすごく良くできてる。モーション・トラッカー(対人レーダー)の反応音がいい感じにドキドキさせれくれる。でもあくまでも〈ホラー〉ではないですね。

キャラもイイんですよ。ヒックスはちょっと"カイル・リース感"に引っ張られてる気もするけど演じるマイケル・ビーンが憎たらしいほどカッコイイ。弾倉を没収されてショットガン使うとか渋くて男の子はキュンとするし施設内のマップを広げて防衛ラインの確認してる時に覗き込もうとしてるニュートを抱っこして上に座らせる気遣いは好感度爆上がりで女の子はキュンとする(知らんけど)。前述のリプリーとのファーストネームの会話で心を通わせた描写も"SFアクション"ならではのシーンで"SFホラー"なら別に要らないシーンやしなんならドえらい〈フラグ〉になりかねない会話。そこも上手く裏切ってかわしてる。ビショップ(ランス・ヘリクセン)もとてもイイ。そもそも声がいい(大好物)(n回目)。何より前作でのアンドロイドのイメージを絶妙なミスリードもしながら巧く裏切ってキーパーソンになってる。これって、前作のアンドロイド・アッシュが悪いイメージだったのをとても上手く利用してると思うし今作のビショップのイメージが良けりゃ良いほど前作のアッシュのイメージが更に悪くなる。完璧な相乗効果ですよね。おまけにモデルタイプが〈ハイパーダインシステムズ・120-A/2〉とか[ターミネーター]を連想させるサービス付き。[ツイスター]で竜巻博士だったビル・パクストンが初見当時はあんま印象に残ってなかったけど今観ると結構しっかりと爪痕残してハドソン役を熱演してる。序盤での最初のブリーフィングで調子乗ってちょけて終わった後にエイポーン軍曹(このキャラも昔ながらの「THE軍曹」て感じですごくわかりやすくていい)から呼び出し喰らうくだりは好きです(たぶんあの後しばかれた)。個人的にはバークの口封じの策略でリプリーとニュートがピンチになった時にニュートが『Help!』じゃなくて『Hudson!』って名前で叫んでるのが地味に好きです。『Help!』でも成立すると思うんですよ。でも名前を呼ばせた事で信頼関係というか最初は心を開いてなかったニュートが名前を呼ぶほどになった距離感を表現できてると思うので。最後の『Bishop!』も同じですね。その後、バリケードが破られた戦闘で調子乗ったらあかんという典型的なフラグを回収した最期も地味に好き。なにより個人的にはスマートガンをブン回すバスクエスがたまんないです。ゴーマンと一緒に迎える最期もイカス。ちなみにバスクエス役のジェニット・ゴールドスタインは[リーサルウェポン2]でリッグスたちの同僚刑事(自宅プールで爆発に巻き込まれた人かな?)の人で、なんと[T2]でT1000に殺されたジョンの養母役の人。あのジョンと電話しながら手をナイフにして旦那さん殺しちゃった人です。知らんかったからこれ知った時はちょっと大きな声出た。役名のバスクエスファーストネームが「ジェニット」なんやけど名前そのまんまなんですよ。設定で手を抜いたのか?ダクト内でライフルから持ち替えた銃を撃つシーンはプロデューサーのゲイル・アン・ハードが代役らしいです(演じるゴールドスタイン本人が実銃を使ったことがないため)。言われてから観ると上から落ちてきたウォーリアーと揉み合いになる一瞬、髪型が少し違うのがわかります。

個人的にはクライマックスのローダーでのバトルシーンはずっと要らないと思ってた(今でもかなり思ってる)。なんか安っぽいロボットアクションに感じて作品の格を落としてる気がして(個人の感想です)。リプリーが倉庫で働いていた事や出撃準備の際のローダーの運転とかが伏線になってるとは言えちょっと冷めちゃう。でもまぁあのバトルがあってこそのビショップのファインプレーも生まれるわけなんでなんとも文句の言いようがないというのが本音。それ以外はほぼ満点の映画です。ニュートを救いに行く際の戦闘準備してるリプリーとかたまらなく痺れる。ランボーやん。ここで中盤で銃の操作方法をヒックスが教えるシーンが上手く回収されてて見事やと思う。道中で迷わないようにちゃんと発煙筒を使用してる細かさもミリタリーマニアらしいキャメロンならではやと思う。ニュートを救い出して大量のエッグチェンバーが並んでてクイーンの姿が判明するまでの息を呑む流れは屈指の名シーンやと思う。観てて〈息を呑む〉まんまで呼吸するのさえ憚られるような緊迫感。すごい。特になにより好きなのがクイーンと対峙して撤退するかと思いきや最後に攻撃する際にちょっと首を傾げて表情が変わるところ。大好きです。『見逃すわけないでしょ』ってのを台詞もないあの表情ひとつで表現してるんじゃないかな。たまんない。ただ、この一連のシークエンスでは《強酸性の血液》ってなかった事にしてないか?いや、そんな野暮な事は言わないでおこう。

前作のホラー調のテイストからエンタメに全振りしたSFアクション大作。何回観たかわかんない。放映されるたびに観てるから。でもこの先も放映されるたびに観ると思う。持ってる円盤がオリジナル版なので完全版は今回のWOWOWの放送を録画したモノのみなのでこれからは円盤よりもこっちを観るかもしれない。大好きな映画。シリーズで1番好き。

1作目が「SFホラー」の金字塔。

2作目は「SFアクション」の金字塔。

 


エンドロール後に微かな音量でフェイスハガーの脚音が聴こえます。

 

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勝97

分19

負7