髭日記

アメブロからのお引越し。

チキチキ第7回トム・クルーズ大サーカス

131【ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE】(原題: Mission: Impossible – Dead Reckoning)。(初)/シリーズ最新作としてWOWOWで放送。Netflixでも観れるらしいです。'23年の公開でシリーズのナンバリングでは第7作目でラス前。監督は[M:I/ローグ・ネイション]からの続投になるクリストファー・マッカリー。この人は[オール・ユー・ニード・イズ・キル]や[T•G マーヴェリック]の脚本を書いてるそうです。最初に言っときますけど、長いです。163分あります。めっさ長い。んで、そこそこ長さを感じます。さすがに『163分があっという間』なんてワケはない。その代わりストーリーは至極シンプル。ざっくり言うと、反乱起こすスカイネットを止める(破壊する)ための鍵を探して右往左往するだけの163分…みたいなもんです。

冒頭いきなりの字幕が「ベーリング海」て出てきて『[メタルギアソリッド]やん』てちょっとニヤけました。魚雷が着弾した時の衝撃の描写が良かったです。好きでした。装填前の並んでるミサイルが乗組員を巻き込んで吹っ飛んでくとこ。リアルですよね。たぶん昔なら観れないシーンやと思う。CGや特撮の技術が進化したから観れるんじゃないかな。ただこのシーンよりももっと惹かれたシーンがありまして。これは予告編にも入ってたから初見からすごいと興奮したし興味があった(なんなら崖のバイクジャンプよりもインパクトあった)序盤のワシントンの情報委員会([T•G/マーヴェリック]のウォーロック(チャールズ・パーネル)いましたね)での黒いボールみたいな小型の爆弾(催涙ガスグレネード?)による爆破シーン。何がすごいって緑の爆風で白いスーツの女の人が後ろにちょっと吹っ飛ぶんですよ。すごいですよコレ。特にフィーチャーされるトコじゃないと思うしホントに一瞬のシーンやけど。コレって演技で身体を吹っ飛んでるように見せてるんじゃないんですよ。明らかに爆風で吹っ飛んでんの。何回でも観直せる。このシリーズは[3]の高架鉄橋のシークエンスでドローン攻撃機が撃ったミサイルが着弾した時にイーサンの身体が浮いて停まっていた車の側面に吹っ飛ぶシーンがありましたし、[ゴーストプロトコル]のクライマックスのインドの立体駐車場でのフリーフォールの浮遊感(目玉となってるドバイのブルジュ・ハリーファ・ビルのシークエンスよりよっぽど好き)やIMF長官が殉職するシークエンスのクラッシュシーンのリアルさ、それらの観処に匹敵するくらいすごいシーンやと思うしすごく好き。今作の予告編を観た時はココに1番サブイボ出た。あとは、グレースのパトカーが事故るシーンも良かったかな。列車の上とかの格闘はシリーズ1作目のオマージュなんでしょうけど、落ちる列車からの脱出は[アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団](ゲーム)の冒頭で、車輌内が無重力になって浮く描写は[バイオハザード6](ゲーム)のレオン編シナリオで既に観た感覚なんですよね。

イルサを探してアラビアで砂嵐の中での銃撃戦のシークエンス、エンプティ・クオーターでイーサンがAK47(たぶん)を撃つ時に壁を背に撃つ方向を変えるたびに銃の持ち方を左右で切り換えてましたね(すぐにジャミングで弾詰り起こしたけど)。これって前に[Mr.&Mrs. スミス]と[バイオハザードヴェンデッタ]の時に脱線してゲームの[バイオハザード6]で「銃の左右持ち方を変えれる」って書いたのと同じ描写なんですよね。こーゆー細かい描写が大好物です。

あ、そうそう。冒頭のロシアらしき潜水艦セヴァストポリの艦内での会話は無理して英語にしなくてもいいんじゃねぇの?と思ったのはぼくだけですかね。別にロシアの配役ならロシア語で喋って英語の字幕入れたらいいだけじゃないのかね。絶対にそっちの方がリアリティー出てたと思いますよ。艦外の英語圏の人物と通信とかで会話するわけでもなくあの艦内の限られた状況のシークエンスならわざわざカタコト英語を使わせる意味あんまないでしょ。あと、アブダビの空港で余裕綽々で素顔晒してたけどなんで得意の変装をしないかね。顔を変えときゃ相手の検索くらい煙に負けたでしょうし退散する時だけでももっとリスクは抑えれてたはずよ。その準備する時間もあったでしょうに。その後のローマでの弁護士もそうよ。特にグレースとコンタクトする時なんかはジッポーだけでイーサンやとわからせる演出もできたから顔を変えててもよかったはずやしそっちの方がジッポーというアイテムが活きたよ。文句ついでに言うならパーティーでズンドコ音楽を流されると殺し屋ジョナサンの映画とカブる。みんなコレやりたがるの?

イルサの退場は推してる側からすると残念ですね。〈イルサ・ファウスト〉はカッコよくて観応えあるキャラやったので。でもこのシリーズにラブロマンスは要らないと思う人なので展開としては全然受け入れられる。次作の最後まで完走して欲しかったけどね。ただ、演出と音楽で劇的な雰囲気には仕上げてますけどなんかちょっとあっさりした感じは否めなかったかな。某ワイルドなスピードのパターンなら何作か後にしれっと生きて出てくるんでしょうけどね。その後の「私がタヒなせた」『そうじゃない。君を生かせた』の台詞のやり取りはカッコよかった。過去にこーゆーシチュエーションの会話はたくさん観たけどこのルーサーの台詞は1番カッコイイんじゃないかしら。そのグレースを勧誘するシーンはなんかシリーズを収束し始めてる感がありましたね。いままではこんなパーソナルなシークエンスなかったでしょ。イーサンがIMFに入る前のエピソードをチラつかせたり少しづつ次作での大円団に向かい始めてる雰囲気を感じました。

こーゆーキャラが出るたびに言うてますけど、パリス(ポム・クレメンティエフ)が良かったです。ヒロインのグレースよりずっと良かった。武闘派女子大好きっ子なので。ちょっと[THE BOYS]のキミコ(福島かれん)っぽい雰囲気もあったので余計に好印象でした。どことなく菊地凛子さんにも似てましたね。きっと続編にも出るでしょうからガブリエルとの確執でキーポイントを握るキャラになってくれそうで期待してます。イルサ不在の(心の)穴を埋めてくれそう。ちょっと誤解が解けかけたCIAのブリッグス(シェー・ウィガム)([ワイスピ]シリーズのブライアンの同僚捜査官・スタジアック役)とも絆ができかけてて次作のどこでグッとくるのか楽しみです(続投するかどうか知らんけど)。

このシリーズは”敵ボス"が作品の質を左右すると思っていて(このシリーズや作品だけじゃない一般論ですけど)その"敵ボス"が活きていると物語がグッと締まる。今作の〈ガブリエル〉は取り敢えず今の段階では及第点ではないでしょうか。もっと冷徹な描写があってもいいけど。ただ、ガブリエルも〈エンティティ〉に従ってる(本来ならもっと「利用している」感があってもいい)という感じなのでその辺がふわふわしちゃってる気はする。次作でどうまとめるんでしょうね。字幕で観たんですが、ずっと『それ』となってるんですよね、敵(エンティティ)を指す言葉が。姿の見えない得体の知れないモノを共通認識言語の『それ』として物語が進行していくのってなんか舞台の演劇を観てるような感覚で新鮮でした。

「CGに頼らない本物のアクション」の定義では背景を合成するのはCGとは違うんですかね(野暮)。

相変わらずトムさんが飛んで走ってカーチェイスしてる作品です(言い方)。ただそのスケールがアホみたいにデカい。次作[8]が最終作との事ですけど、このまんまどこまでもデカくなるアトラクションのスケールを観たかった気もするし、アクションをグッと抑えたドラマで勝負する[ミッション・インポッシブル]でどんな舵を切るのか楽しみにしたかった気もする。どうも最近は最初のインポッシブルなミッションをクリアするのを観てた感覚がいつからか無謀とも言えるようなド派手アクションを観せられてる感覚になってる気もするんですよね。

誰かが『SASUKEチャレンジ映画』ってレビューしてるのを見かけた事があるけどなんか笑っちゃった。上手いこと言うなぁ。


さすがに長かった。


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取り敢えずの「○」です。でも、明らかに続編ありきなので今作単体で評価するのは正直難しい気もします。ド派手なアクションのエンタメを楽しめたかどうか…になっちゃうかな、と。続編でこの物語が上手くまとめられてたら今作の評価もまた変わってくると思う。


あと、なんか今作を観たら[M:i:Ⅲ]がとてもよくできてるなと再確認しました。なんでだかはよくわからないです。

 

 

勝104

分20

負7