髭日記

アメブロからのお引越し。

こーやって書き連ねてほぼ一年が経ったと思うという事は今年ももう年末であと少しで終わっちゃうけど年賀状とか年越しの準備は何もしてないけど取り敢えずメリークリスマス(全然[メリー]じゃないけど)

103【インビンシブル~無敵のヒーロー~・SEASON1】(初)/[TOKYO MER]と並行して観た。コレもアマプラオリジナル。[ボーイズ]を薦めてくれたツレに次に薦められた。系統が同じとの事で。今回はアニメ。前で懲りて(懲りてというか信頼して)今回は素直に観ちゃう。『インビンシブル(invincible)』の意味は『無敵』。〈The Invincibles/無敵の者達〉は無敗優勝したチームの称号とかにも使われたりします。

'21年の作品。[ウォーキング・デッド]の原作者のロバート・カークマンのコミック('03〜)が原作。海外のアニメのタッチがすごい。クセ強タッチ。昔のアニメ感。アニメというより〈CARTOON〉感というか。薦められた時に『最初は絵が受け付けないかも』と言われたけどやっぱそう。受け付けるのに時間かかった。感情移入がしにくいしにくい。改めて再確認しましたけと、日本のアニメって凄いんですね。表情やディテールだけじゃなく動きやもっと言えば〈線〉までもが繊細で。今作については”敢えて”そーしてるのかもしれんけど、ガキの頃に観た[ゴールドライタン]とか[スパイダーマン]や[アラジン]とかの絵のタッチと変わってないもん。海外のアニメって言えばDisneyとかPIXARとかのフルCGの印象は強いし『そりゃフルCGならキレイよ』的な感覚があるから『今このタッチ?』みたいな軽い衝撃はある。これは好き嫌いありそう。日本のアニメを観てる人には特に。ド深夜にこっそり放送してるようなウルトラマイナーアニメでももっとキレイな作画やと思うもん。

観た後でこんなん言うのも本末転倒みたいですが、やっぱ同じような内容を観るにしても実写の方が何倍もおもしろい。撮影の技術や特撮の凄さも含めて。ただその辺のレベルが〈追いついてない〉場合は観るに耐えないモノになっちゃいますが。そん時は『それならアニメの方が…』とか言っちゃう事もありますけどね。

[ボーイズ]ほどのペースでは観れませんでした。でも、ここでやりたかった事を上手くブラッシュアップして[ボーイズ]を作ったような感じもするので観ておいて損はない。毎回のタイトルの使い方は好きでした。画のクセは途中からだいぶ気にならなくはなりましたね(ゼロになったワケではない)。


◯(△に近い)

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104【インビンシブル~無敵のヒーロー~・SEASON2】(初)/'23年の続編。こんな最近の作品やとは調べるまで気づきませんでした。なんか気づいたら配信してる第3話まで追いついてた。どえらいトコで終わります。てか、全部回収できるのか?

シーズル3も制作が決まってるとか。もうここまで来たら追いかけたいですね([ボーイズ]たちの方をはよ追いたいけど)。


○(3話までという途中での採点になるのでどーしようかと思ったけど取り敢えずは○)

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105【ブロークン・アロー東海テレビの深夜に放送してた。'96年の作品。主演のクリスチャン・スレーターケビン・コスナー版[ロビン・フッド]、[トゥルー・ロマンス]、[インタビュー・ウィズ・バンパイア])や監督のジョン・ウー([男たちの挽歌]シリーズ、[M:i:2]、[レッドクリフ])が勢いのあった頃。憎たらしい悪役のジョン・トラボルタが見れます。悪役を演じ始めた最初の作品くらいじゃないかな([パルプフィクション]('94)のヴィンセントはゆーて"悪役"ではなかったと思うし)。いい悪役です。煙草を美味そうに吸う。クライマックスでテリーに暗証番号を入力させるくだりとかたまらなく良い。最期の死に方もイイ。国防長官役が[ロボコップ]のクラレンス(カートウッド・スミス)。この人、見かける役のほとんどが善人役なのに真っ先にイメージするのがクラレンス。まぁ良いのか悪いのかそれだけあの役にインパクトがあったんでしょう。紅一点のテリー(サマンサ・マシス)がなんやかんや言いながらそこらへんのボンドガールよりもずっと役に立つ…というか活躍する。

今観ても爆破シーンやアクションはジョン・ウーらしくまぁド派手(ヘリがトンネルにぶつかるシーンとか雑なのもあるけど)。ただ今観ると台詞回しや会話とかがいちいちテンポが良くない。[男たちの挽歌]の頃のキザで古き良きウィットに富んだ台詞が多いからかな。ひと昔前のテンポ。〈ハリウッド〉に憧れた人が〈ハリウッド〉を意識して(意識し過ぎて)撮ったみたいな感じ。いちいちtoo muchなの。トラボルタは粋に見えるのにスレーターが狙い過ぎのキザっぽく見えるのは格の違いなのかな(個人的な偏見)。トラボルタの悪役が思いの外活きてるのでそれに対するスレーターがちょっと青二才感が拭えなくてバランスが悪い気もする(この吹替版は宮川一朗太さんの声なのでさらに青二才感が増す)(これもど偏見)(宮川さんごめんなさい案件)。対するトラボルタの声はジェイソン・ステイサムソン・ガンホ(パラサイトの父親)、ウィレム・デフォースパイダーマンのグリーン・ゴブリン)、ヒュー・ジャックマンウルヴァリン)の本格派・山路和弘さん。さすがです。

魅せ場のひとつの鉱山坑道での爆破シーンはよかった。なぜ核爆発が起きても大丈夫なのかの理由までの流れもスムーズ(物理的にホンマかどうかは知らんけど)やしその影響がディーキンスにも上手く作用してる。この辺は上手い。蝶の使い方もお上手。個人的には爆発する直前に鹿が異変を察する描写を入れてるセンスがすごく好き。なくてもいいシーンやけどあるだけで全然違う。あのたった1秒のシーンを入れると入れないのでは印象が変わる。ホンマにセンスいいと思う。ただ、終始ボクシングを絡めたやり取りは今観るとかなりチープに感じちゃう。昔は『お!』と思ったのにね。

尺が100分くらいなのでサクッと観れる作品。クオリティーは[フェイス・オフ]の方が上やと思う。でも、おもしろいですよ。難しい事考えずに観れる映画。ただし、難しい事を考える人が観ると物足りなく感じそうな映画。

フレーム下にある折り畳みのフォアグリップが特徴的でロングマガジン、3点バーストがベースになってる対テロリスト用に開発されたベレッタ93Rが1番印象的に使われてる映画。ちなみにこの銃をベースに作られたのがロボコップの〈オート9〉。


今作もジョン・ウーは鳩使ってない。

 

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106【インビンシブル~無敵のヒーロー~・アトム・イブ】('23年)[インビンシブル]の前日譚にあたるスピンオフのスペシャルエピソード。『シーズン202』ってなってる。まだエピソードはひとつだけ。イブの出生から能力の覚醒、ヒーローになるまでを丁寧に描いていて中身がしっかりしている。もちろん[インビンシブル]を観てから観た方がいい(観てなけりゃたぶんちんぷんかんぷん)。

ちょっと画のクオリティーが日本のアニメっぽくなってる気がする。バトルシーンとか普通に観れるレベルやしなんならちょっとカッケェ。[インビンシブル]の時より観応えある。キャラデザとかは相変わらずやけど。

コレはコレで十分おもしろいので続きは観てみたい。


○([インビンシブル]より評価は高いかも)

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107【ブレット・トレイン】(原題:Bullet Train)(初)/'22年の作品。アマプラにて。[ボーイズ]のキミコ(福原かれん)がクレジットされてたので観てみることに(ほぼコレが目的)。監督は[ジョン・ウィック][アトミック・ブロンド]のデヴィッド・リーチで原作は日本の小説(伊坂幸太郎の[マリアビートル])との事らしいです。

B級でした。びっくりするくらいB級。ブラピ出てるし監督もデヴィッド・リーチやし予告とかをよく目にしてたからそこそこの大作…とまではいかなくてもまさかこんなB級やとは思ってなかった。嫌いじゃないですけどね。なんか"タランティーノ感"満載のタランティーノ関係ない映画。そんでそのタランティーノ味がちょっと邪魔な気がする(あかんがな)。てか、タンジェリンとレモンが[パルプ・フィクション]のヴィンセント(トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)なのよね。ちなみに、[パルプ・フィクション]ではブレット(Brett)ていうギャングの一員がアタッシュケースを盗むというこれまた偶然とは思えない偶然(偶然なのか?)もある。

キャラの個々の魅力はいいと思うんですよ。ただちょっと盛り付けが多過ぎる。列車内というクローズドなプロットでこんなに具沢山やとパンパンなのよ。タンジェリン役のアーロン・テイラー=ジョンソンって[キックアス]のあのパッとしない青年(ゆーて主人公)なのね。全然わからんかった。レディバグが“天道虫"の由来を説明される時にブラピに『7つの悲しみはごめんだ』て言わせるのはちょっと笑った。[セブン]やん。キミコが普通に台詞を喋ってるのがちょっと新鮮でした。ただ、金髪やから一瞬気づかなかったぞ。あと、個人的にはできるならホーネット役と代わって欲しかったです。もうちょっと出番が欲しかったかな。まぁチャニング・テイタム([ホワイトハウス・ダウン]、[ザ・ロストシティー])やライアン・レイノルズ([デッド・プール])2人カメオ出演サンドラ・ブロック([スピード]、[ゼロ・グラビティ])の贅沢な使い方に比べたらまだいい方かもしれんけど。『I got a bad feeling about this』の台詞を聞けるとは思ってなかった。終盤の伏線回収というか答え合わせ(帳尻合わせ?)は観てておもしろかったんですけどね。

個人的には少し前に観た[トレイン・ミッション]の方が中身がしっかりしててずっとおもしろかった気がする。ちょっとコミカルな味付けを強めにしちゃったかなぁというところが逆になんか残念。

 

△(もう少しで○になる△)

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108【スーサイド・スクワッド】(原題:Suicide Squad)(初)/'16年の作品。円盤持ってるけどアマプラで(探し出すのめんどくさい)。コレもキミコ(福原かれん)出てるのでそれ目当てで。ベースになってるのはDCコミックらしいですが、読んだことがないので知識はないです。劇場公開当時はすごく観に行きたくて結局行けなくて円盤を中古で見つけた時はやっと見つけたと思って即買いしたんですけど結局その円盤はまだ観てないという作品。

冒頭でスーパーマンが亡くなった世界線と言われて『は?』てなったけどDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の前作(今作がシリーズ3作目)にあたる[バットマン vs スーパーマンジャスティスの誕生]の続きの世界線になってるんですね。そんなん聞いたらそっちも観たくなるな。

《悪と闘う(善側の)悪》というプロットはいいと思うんですよ。ただその《悪》としてのパンチが弱く感じちゃう。まだ《善》がチラ見えしちゃう。とことん《悪》で《外道》を貫いて欲しいというか。まぁ[ボーイズ]を観ちゃってるから《悪党》への抗体ができちゃってるってのもあるかも。アレくらいおもっきりはみ出してくれてたらずっとおもしろくなってたと思っちゃう。お互いのカウンセリングみたいな事をして慰め合ったり仲間の為に命を懸けたりするのは《ヒーロー》のやる事なんですよ。それはヒーローの映画で観てるからこの作品で観たいワケじゃない。そこの描写がブレるから《極悪》のはずのメンバーより役人の方がよっぽど《外道》なのが際立っちゃう(逆か?)。

だからなのか思ってたよりB級感が。続編とか関連作品とかできてるみたいやからもっとメジャー感あると思ってた。前に観た[ガンパウダー・ミルクシェイク]とかに近い感覚。[キル・ビル]とか。一作目の[ジョン・ウィック]とか。『なんかのスピンオフ作品』感があるというか。

1本の映画じゃなくてドラマシリーズで丁寧に描けばずっとおもしろくなる素材やと思いますけど。駆け足で2時間でやっちゃうからハレー・クインくらいしか印象に残らなくなりそう。他にもあるのに。ジョーカーもいい感じやし。いい食材が揃ってるのにチャチャっと料理しちゃった感。それかシェフの技量なのか。ただ、エンチャントレスは封印されてる時のビジュアルはほぼ満点の雰囲気なのに心臓を取り戻した完全体がツルッツルの健康体で逆に魔女の威厳がなくなるというトホホ感。個人的にはお目当ての〈カタナ〉が予想してたより([ブレット・トレイン]より)魅せ場が多くてよかったのと、炎を操るエル・ディアブロがカッコよかったですね。

DCもマーベルもほぼ素人なのですごく素人みたいな事言いますけど、DCよりマーベルの方がスケールデカいんですね。


△(○にしてもいいくらいの△)

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109【パルプ・フィクション】ホントは[ブレット・トレイン]の後で続けて観ようと思ってたんやけど。'94年の作品。そんな前なのね。円盤持ってっけどアマプラにて。

エピソードの時系列がシャッフルされてて通して観ると整理されて繋がるっていう当時としては『え?』『は?』てなった〈タランティーノ・メソッド〉というか今作以降に色んな作品で取り入れられた手法というか。それが上手くハマってるのは前作の長編デビュー作[レザボア・ドッグス]よりも今作の方じゃないかと思う。絡み合うエピソードが少なくてまだシンプルかと。前作は登場人物分のエピソードあるからね。ただぼくは[レザボア・ドッグス]の方が好きです。(今作も好きですけど)。

これは字幕で観た方がいい作品。スラングがしこたま使われてるけどそれ込みで味になってるから。

ブルース・ウィリスの声とタバコの吸い方はやっぱり好きですね。吸い方は1番好きかも。めっさカッコイイ。喫煙のシーンが少なくなってきてる昨今でこれほど旨そうにタバコ吸う人はあんまいない。声のせいで台詞も粋に聞こえる。彼の声が聴きたくて吹替にしないまである。もっと観たかった大好きな俳優さんです。

今観ると繋がり方にちょっと雑味を感じなくもないけどそれでもちゃんとおもしろい。音楽もイカしてる。偏見まみれでモノを申すと『この映画の良さがわかるとセンスがいい。わからないようならセンス悪い』みたいなモノサシにされそうな映画。そんな事はないとは思うけどね。映画ヲタクのタランティーノが好き勝手に自分がおもしろいと思うモノを形にしたらこんなんなりました…みたいな映画。終わり方も『え?終わり?』ってなるでしょうけどあの幕引きはなんか奇妙な余韻が残る。後味が残ると言うか。それも甘かったり美味しい味じゃない後味。おもしろいですよ。

 

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110【コン・エアー】(Con Air)。'97年の映画(四半世紀前の映画かよ…)。深夜に地上波で放送してて字幕にして観ようと思ったら地震の影響で津波注意報が画面に出てるのが原因(たぶん)で字幕表示ができなくなってたっぽいので円盤に切り換える選択肢もあったけど吹替のまま視聴。ただ、主人公のキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)の声を我らが大塚明夫さんがやってるので結果的に吹替版も全然ハズレじゃない。

タイトルの《コン・エアー》は囚人輸送などの空輸隊の意味。

豪華です。キャストが。[ザ・ロック]('96)[フェイス・オフ]('97)で勢いのあったニコラス・ケイジを主役に、ジョン・キューザック([2012])、ジョン・マルコヴィッチ([RED]シリーズ)、スティーヴ・ブシェミ([レザボア・ドッグス][アルマゲドン])、ヴィング・レイムス([パルプ・フィクション][ミッションインポッシブル]シリーズのルーサー役)などなど。『どっかで観たことある』人にたちがいっぱい。ちなみにシボレーを勝手に使われた挙句にあんな事になったマロイ捜査官(コルミ・ミーニィ)は[DIE HARD2]で見せしめとして墜落させられたウィンザー114便の機長。監督は今作が長編映画デビューで後に[トゥームレイダー]も撮ったサイモン・ウェスト

サイラスの極悪っぽさがいいです。ただの知能犯だけじゃなくて自分で引金を引く残忍さもある。いい悪役。本来ならラスボスできそうなヴィング・レイムスの演じるダイヤモンド・ドッグが側近にしか見えない。サイラスがウサギのぬいぐるみを人質に取るシーンが1番好きです。センスある。

クライマックスのホテルに突っ込むシーンは廃業して解体予定だったラスベガスのホテルに買い取った廃棄旅客機を突っ込ませての一発撮影だとか。知って観るとすごいのがわかる。衝撃でスロットの777が揃って大当たりするという素人でも思いつくようなワンシーンを入れるのが逆にすごい。

粗は正直目立ちます。そこをネチネチほじくる映画じゃないです。頭空っぽで(言い方)子供みたいに楽しむ内容です。シナリオもおもしろいと思う。機内だけのストーリーでこじんまりしたサスペンスにするんではなくて途中の給油所や着陸後にアクション要素を足してるのもいいと思う。[ダイハード]と[リーサルウェポン]とセガールさんの沈黙のなんたらかんたらのなにかしらを足したようなエンタメ映画。グリーン(ブシェミ)の扱い方やキャラが好き。元々この人好きですし。グリーンの最恐の犯罪者としての描写がほとんどないのはモノ足らないと感じなくはないけどこの人はスクリーンにいるだけで存在感があるし普通にしてるだけである意味逆に不気味なインパクトがあるからキャスティングの時点でほとんどお役御免なトコはある。グリーンのインパクトある登場シーンの護送車から移乗する時の厳重な警備が[羊たちの沈黙]のハンニバルがモチーフかと思ったら[ジュラシックパーク]のヴェロキラプトルがモチーフらしい。ぼくはニコラスさんがあまり好きじゃないのでそこまで大ハマりはしないけどそれでも十分おもしろい。吹替の大塚明夫さんvo.でかなり補正してもらってるとは思うけど。あんまこんなん言わないけど、吹替版もお薦めです。

どーでもいい話ですけど、ラストで排水溝にぬいぐるみが流れた時に中にピエロがいる映像を想像しちゃって笑ってしまった。


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111【グリーンブック】'18年の作品。TVの地上波で深夜に放送してたのをたまたまチャンネルが合ったのでなんとなく途中から観てたら思いの外おもしろかったのでNetflixで観直した。地上波で主人公の1人のトニーの吹替が大塚芳忠さんでスムーズに物語に入り込めたのも大きな理由かと。大塚芳忠さんといえば[メタルギアソリッド V・ファントムペイン]の冒頭の有名な主治医や[ジュラシックパーク]シリーズのマルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)の吹替。ちなみにもう1人の主役のドクの声はハサウェイのケネス大佐の諏訪部順一さん。

キャストのみなさんは申し訳ないけど知らない人ばっかり。これはただぼくが情薄なだけ。でもちゃんとおもしろかったです。というか、観終わった後ではこのキャスティングが逆に作品の質を上げているような気がしなくもない。とてもフラットな目で見て没入できるというか。純粋に〈演技〉で魅せられたような気がしたから。

人種差別とかに対してほぼ暗愚なので難しい事や背景とかはよくわからない。その辺がわかるときっとこの作品の深みやおもしろさは増すでしょうね。ぼくは純粋に2人の男の友情を観て感動しました。例えば、白人と黒人の刑事のバディ、善人と悪人が手を組んで更に大きな悪に立ち向う、色んなバディムービーがあるけど今作は派手な魅せ場はほとんどないのにすごくいい作品。『おもしろい』というより〈いい作品〉。うん、〈いい作品〉。もうひとつの主役である《音楽》もとても良かったです。

〈差別〉はいけないと思う。でも〈区別〉は要ると常々思う。ただ、《される側》からするとそんなのは関係なくて。そしてホントに些細なことでも《される側》にはすぐわかる。《する側》に大きな悪意がなかろうが、ルールや仕来りや伝統や風習を盾にされようが、巧妙に隠したつもりだろうが。歳、性、色、思想、推し、人が違えばズレは起こる。きっとコレは人が人として生きているうちはなくならないんじゃないかなと思う。でもトニーのように変わることはできるんだよね、と(知識がねぇから言ってる事が薄い)。

全体を通して《白人側》の方が下衆い描写がされてて《黒人側》が粋な描かれ方というか脚色されてるような気もした。この辺は演出の妙なんでしょう。〈オレンジバード〉での一連のシークエンスで十分ホッコリして雪の中のパンクのくだりで『メリークリスマス』って言われた時に1番泣けました。1番よかったシーン。警官との絡みが先に描かれててそれと上手く対比させてるシナリオは上手いですよね。あと、バンドと即興で演奏してる時に唯一楽しそうにピアノを弾くドクの笑顔がとても尊くて美しかった。楽しそうに聴く相棒トニーの笑顔がドクをそうさせたんでしょうね。ちなみに、『メリークリスマス』のシーン、警官が車の屋根に手をついて最後にバンバン!と挨拶するんですが…警官が手をつく前に積もった雪に手の跡があるんですよ。だからたぶん撮り直ししてるな(それかリハか)、と。それってつまりあの撮影は小道具の雪ではなく本当に屋外で雪の降る中で撮影されたんじゃないかな…と想像しちゃうわけです。小道具じゃないからまた積もって指の跡が消えるまで時間がかかってなかなか消えなかった………もしくはただの凡ミスか。停める時にも手をついてるけど作業してる間もずっと降り続いてた雪が積もってる(それに厳密に言えば少し手を置く位置が違うっぽい)から指の跡だけ残るのも『?』。まぁ知ってたところでどーかなるポイントではないですけどね。あと、ラストの『席を作れよ』が〈トニーの台詞じゃない〉ところが個人的に好きでした。あそこでその台詞をトニーに言わせるとどこか少し押し付けがましい印象や〈トニー〉の変化だけを描いて終わるけど〈トニーじゃない〉から〈トニー以外〉の変化(や可能性)も描写できてるように思う。

派手さはないしキャスティングも正直地味かもしれません。ヒーローも宇宙人も出ないし銃撃戦もカーチェイスもないし謎解きやどんでん返しがあるわけでも特撮やアクションがすごいわけでもない。でもいい映画は作れるよって見本であり、観たら心が豊かになる作品。

偶然とはいえいい映画に出逢えた。

今回のリストの中で1番良かった。


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85勝19分7負